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うすい流 “その会社らしさ”が伝わる会社案内のボディコピー術【超実例付き】

2020.11.17

文/うすいふじこ

コピーライターが制作するのは広告だけではありません。時には会社案内のパンフレットやホームページなど、数ページから数十ページにわたる大型案件に取り組むこともあります。

どんな大型案件も、基本は、1ページまたは1見開きごとにテーマを設定し、それぞれ「キャッチコピー+ボディコピー」を作って積み上げていく、と考えれば取り組みやすくなるでしょう。

会社案内制作の中で私が大切だと考えているのは、いかにして“その会社らしさ”を醸し出すか、ということです。

今回は、以前に作成した食品会社の会社案内を例に、私が意識して使っている“らしさ”を醸成するためのコピー制作の小さなコツを、具体例を添えてご紹介します。
会社案内やホームページのみならず、通常のコピー作成にも役立つと思いますので、ぜひ、ご一読ください。

“その会社らしさ”は、取材で読み取る

どんな仕事にも言えることですが、コピー制作の第一歩は、資料の徹底研究しっかりした取材です。出すべき「答え」は相手の中にあるからです。

一般的には先に資料が支給されますので、まずはじっくりと読み込んで、その会社の全体像やピックアップするべきポイントを把握します。同時に、疑問点を洗い出したり、取材の際に何を聞こうかと作戦を練っていきます。

資料の読み方のコツはこちらにまとめましたので、ぜひご覧ください。

うすい流 キャッチコピーもボディコピーも感動3割増しに作れる、資料の読み方のコツ

次に、クライアントに対し取材を行います。

これまでの経験から言うと、取材相手はその企業の代表者や主力商品の開発者、あるいは会社の全体像や重要部分をしっかり把握されている方、実務の責任者など、重要なポジションを占める方であることがほとんどでした。

取材時のコツ1.その会社独自のワードや言い回しを拾う

どんな会社にも、自然に出来上がった「社風」というものがあります。その会社特有の気風や雰囲気です。「社風」と言うには少し大袈裟かもしれませんが、取材をしていると、言葉遣いの中にもその会社独特のワードや言い回しがあるのに気づきます。例えば製造業であれば、製造工程のある部分の作業の呼び方や、その製品を使った時の作用や感触等が挙げられます。また、その製品の呼び名や、使うときの動作等にも見られます。

私が体験した例では、食品系とサプリメント系の両方を扱っている健康食品会社で、サプリメントに関しては「飲む」ではなく、必ず「摂る」と表現している企業がありました。おそらく食品系の健康ジュース等と分けるために意識してそう言うようになったのだと思います。サプリメントは「摂る」とすることで“成分の充足感”が、ジュースは「飲む」とすることで“おいしさ”が、言葉の中から自然と湧き上がってくると思います。このような言葉の遣い分けも、その会社ならではのこだわりです。

私は取材の際、こういった言葉の端々に現れる「独自性」に対し、自分なりにアンテナを張るようにしています。これらの言葉や表現をうまく織り込むことで、コピーの行間から何かしらその企業らしさが香ってくると思うからです。

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また、それぞれの会社には、その会社の精神や独自性を表現する社是やスローガンがあります。あるいは、特に定められたわけではなくても、自然発生的に生まれ社員の方たちのモチベーションアップに役立っている言葉が存在する場合もあります。

社内によく浸透しているそういう言葉を、会社の気分を表す言葉として的確に捉えてコピー制作に活かすのも、“らしさ”を醸成するのに役立つでしょう。また、社員の方たちが読んだときも、自分たちの言葉が使われていれば違和感が生じることがありません。

取材時のコツ2.共感を持って、心に響くストーリーを拾う

取材では、企業の代表者の方からお話を伺う機会もよくあります。特に創業社長の方などは、気分が乗ってくると成功談だけでなく、ご苦労話や失敗談まで熱く語ってくださることが多いのですが、こういうお話は特にしっかりと傾聴しましょう。熱く語られるストーリーの中にこそ、その企業の核となる想いが詰まっていることがよくあるからです。

私は、個条書きの情報の羅列からは何の実像も浮かび上がってこないと考えています。ストーリーをつかみ取ること。そのためには、強い共感を持って取材に臨むことが大切です。興味と共感を持ってお話を伺えば、自然と相槌を打ったり質問したい気持ちが湧いてきます。その想いは相手にも伝わりますので、さらに魅力的なお話を引き出すチャンスにつながるでしょう。経営者の実像がふっと垣間見える魅力的なストーリーは、必ず読む人の心に響きます。

得られたストーリーは制作物の中に活かすこともありますし、使わないこともあります。ストーリーそのものを紹介しなくても、つかみ取った熱い想いは必ず生きてきます。

取材時のコツ3.社員さえ気づいていない魅力を発掘する

取材をしていると、その企業や商品、サービス等の中に、社員の方たちが気づいていない大きな魅力が存在するのに気づくことがあります。あまりにも身近すぎて、見落としてしまっているのです。

私が以前にお仕事をしたある食品会社の例ですが、資料として頂いたその会社のパンフレットやチラシからは味わいについてのイメージがまったく伝わって来ませんでした。素晴らしくおいしいもの作りをしているにも関わらず、です。取材を始めてすぐにわかったのですが、創業者の方はアレルギーの関係でその商品をほとんど口にすることができない、という残念な状況でした。また、製造には高価な機材と高い技術が必要なため、そちらの方にばかり目が向いてしまい、肝心の味わいを伝える作業がすっぽり抜け落ちてしまっていたのです。極端な例ですが、こういうこともあるのです。

社内で見落とされている大きな魅力に気づいたら、重要な訴求ポイントとして取り上げるようご提案してみましょう。キャッチコピーやボディコピー、デザインのアイデアを添えてご提案すると、より効果的です。

大きな気づきを促すことができるのも、外部の制作者ならではの力です。

取材時のコツ4.本業以外の魅力も、広い視野で探り出す

会社案内で紹介すべきは、その企業の魅力です。多くの企業は、本業はもちろん、それ以外にも自慢できる“何か”を持っています。取材時はできるだけ視野を広く持ち、様々な角度から魅力を探り出すようにしましょう。

例えば、環境保護、男性も女性も働きやすくなる工夫、文化やスポーツの振興などに力を入れている企業もあるでしょう。商品に直結したところでは、有名デザイナーとのコラボレーションで商品開発を行っている企業等もあります。

SDGs等も念頭に置きながら“周辺情報”を探り出し、テーマとして設定したり、コピーに織り込んだりすることで、その企業らしい魅力の発信につながります。

取材後は、一度冷静になって考える。

熱い共感を持って取材を行ったら、資料研究と取材で得られた素材を見直します。
集めた情報からどんなテーマをピックアップするか、どのように構成するか、どの素材をどこに使うか、熱い想いは一旦横に置き、冷静になって組み立てを考えます。

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構成が決まったら後からひっくり返ったりしないよう、一度クライアントにプレゼンテーションを行って同意を得てから作業を進めると安心です。その際は、仮で構いませんので各ページのキャッチコピーと、そこに添えられるボディコピーの概要程度は併せてお見せするようにしましょう。

“その会社らしさ”が醸し出されるコピーのコツ【超実例】

構成が決まったら、コピーを作成していきます。
“その会社らしさ”を醸成するために私が具体的に行っていることをいくつかご紹介します。

超実例1. マイナスイメージの言葉の処理を考える

美容商品や健康商品などを紹介する際、ターゲットについて「歳を取った」という言い回しを避け、「年齢を重ねた」と表現するのはもはや常識です。ターゲットが気を悪くするような言葉は、徹底して避けなければいけません。

ターゲットを直接傷つけないまでも、マイナスイメージを含む言葉が無造作に乱発されている文章は、読む人の心に入っていかないのではないかと私は思っています。

私の場合、マイナスイメージを含む言葉を単に避けるのではなく、さらに一歩踏み込んで、プラスイメージを作るにはどうすればよいか考えるよう心がけています。

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例の食品会社のボディコピーのケースをご紹介します。
その業界は、シェアの大部分を数社の超巨大企業が占めており、残りの小さなパイを数百社で取り合う状態でした。クライアント企業は、数百社の中では上位5本の指に入る規模でしたが、「大規模」か「小規模」かと言えば、間違いなく「小規模」に属する会社でした。

「大きい」と「小さい」という言葉を並べたとき、言葉そのものが持つポテンシャルとして、「小さい」はどうしても負けてしまいます。しかし、「小さい」ことがプラスに働くことも確実に存在します。それを、「小さい会社だからできること」と言ってしまってもよいのですが、私は、「小さい」を使わず、さらにプラスイメージが伝わるよう、こんな表現を考えました。

当社の工場は、職人の「手」と「目」がすみずみまで行き届く規模で製造にあたっています。

この一文だけで、作業の丁寧さ、出来上がった商品の安全性などが想起され、むしろその規模でやっていることが“誇り”として伝わるのではないかと考えました。

それこそ“小さなこと”ですが、事実のプラス面を浮かび上がらせる言い回しを地道に重ねていくのは、その会社らしい良さを醸成するのに効果的だと思います。

超実例2. 最終ユーザー(消費者)の立場を意識する

会社案内を含め、企業からリリースするコピーは様々な形で二次使用される可能性を考えておかなければなりません。店頭で大きな売り場を用意してくれたり、フリーペーパー等の媒体で企業が紹介されるチャンスもあるかもしれません。その際に先方は、大概、手持ちの資料の中から使えそうな文章を抜き出して切り貼りします。
そんなこともありますから、作成するコピーはその企業の立場だけでなく、最終ユーザーの立場や視点をある程度考慮しておいた方がいいと私は考えています。

そう気づかせてくれたのは、こんなケースでした。

例の食品会社の中には、自然発生的に生まれた“目指す味”に関する言葉がありました。
「食べやすく、食べ飽きない」というものです。
社内で使っている分にはこれで結構なのですが、社外に対して伝えていくには少し工夫が必要だと私は思いました。
「食べやすいか、食べ飽きないか」は、食べた人が判断することであって、製造側が押しつけることではない。しかし、社内に浸透し、社員のモチベーションアップにつながっているこの言葉は、ぜひ、会社案内の中に織り込みたい。

そこで私が取った方法は、もとの言葉はそのまま活かしながら、そこに最終ユーザーの立場とリンクさせるための装飾を施す、という手でした。

私たちが目指すのは、すべてのお客様に笑顔になっていただけるような「食べやすく、食べ飽きない」味です。

としたのです。

どんなに良い素材も、裸のまま一人歩きさせるのは危険な場合もあります。あたたかく飾ってあげる視点を、ぜひ忘れないでください。

全体のスタイル構成にも工夫を凝らす

細かいテクニックをご紹介しましたが、ここで、全体のスタイルについて少し触れておきます。

ページ数の多い大型案件も、基本は各ページ(見開き)ごとに「キャッチコピー+ボディコピー」を作って積み上げていく、と最初にお話ししましたが、すべてがそのスタイルだと、やや単調になってしまいます。

それを避けるには、ところどころに以下のような「異なるスタイル」を挟み込む手法があります。

インタビュースタイル

Q&Aのやり取りで内容を展開する手法です。次のような効果が期待できます。

  • 語り口調で文章が読みやすくなる。
  • 投げかける質問によって語っていることのテーマが分かりやすくなる。
  • 回答の内容が複雑だったり長かったりした場合、質問者が回答者の答えを簡単にまとめてあげると内容がつかみやすくなる。

対談スタイル

会社に縁の深い有名人などがいれば、会社案内の中で代表者と対談していただくのも効果的です。ただし、会社案内作成のためだけに縁もゆかりもない有名人を連れて来るのはあまり品が良いとは言えず、却って逆効果です。相手の方と長い付き合いがあったり、強い共感性がある場合は効果的だと心得ましょう。

ビジュアルバランス

ページ数が多くなればなるほど、文字も多くなって読み疲れが起こります。ページ当たりの文字数があまり多くなりすぎないよう配慮したり、文字の多いページと少ないページのメリハリをつけるとよいでしょう。また、写真などビジュアルをメインとしたページを作るのも効果的です。

おわりに

大型案件は制作に時間もかかりますし、要素のダブりや不足がないよう常に全体を把握しながら制作を進める必要がある、いわばマラソンのような仕事です。体力も知力も必要です。クライアントへの熱い共感と、冷静な観察力・判断力が、良い結果を導き出してくれるでしょう。

社内のメンバーで制作する場合もありますが、外部のコピーライターを使うと、企業にとって多くの気づきを得るチャンスが生まれます。

例えば、経験豊かなコピーライターであれば、その会社は外からどう見えているのか、社員の方たちが見落としている魅力はどこにあるのか、どのように発信するとより社会に受け入れられやすくなるのか等について、具体的な提案をしてくれるはずです。

企業側と制作者でそこまで踏み込んだ話ができるような良い関係が築ければ、きっと“その会社らしい”制作物が完成することでしょう。

よい出会いがありますように!

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うすいふじこ

コピーライター、プランナー
コピーライター歴、約20年。紙媒体からウェブサイトまで、商品広告、企業広告、フリーペーパーや広報誌の編集・制作、会社案内、イベントのスローガン、インタビュー記事など、数多くの制作に携わってきました。
これまで自分なりにやってきたコピーライティングの仕事の進め方やコツ、また、言葉について日々考えたことなどを公開していきます。
「こんなテーマで聞いてみたい」ことなどありましたら、リクエストしてください。可能な限りお答えしていきます!

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