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コンセプト設定

文/ 加藤春樹

ターゲットとそのニーズをこれまでの調査で行ってきました。
このステップでは、調査でえられた気づき(顧客の本質的なニーズ)を元にしてコンセプトにまとめ上げます。
コンセプトとは、ざっくり言うと「誰に、どんな伝え方」をしたら売れるのかということです。

この大方針を決めないことには、デザインやキャッチコピーも決められません。
さらに、ペルソナを設定し「そのコピーでは刺さらない」「背景黒の方がウケる」といった議論を行います。
コンセプト設定はサイト作りの根幹で重要な工程です。
たっぷりと時間を使って検討しましょう。

1.なるべく多くの文脈を発見する

WEBサイト制作の目的の一つとして、「新規顧客を獲得したい」という目的があるのではないでしょうか?
そうであるなら、文脈(ユーザの生活している状況)の発見をはじめに取り組むことが重要です。

人は置かれている状況によって、ある商品を買う気になったり、ならなかったりします。
あるスイーツメーカーの調査例です。
お昼の文脈では「スイーツは健康に悪い」という理由で買わなかったのです。しかし、帰宅中の文脈ではスイーツを買うということが発見されました。*これは「このまま職場との往復ではなにかさみしい」という本人の合理があるからではと推察できます。
このように、文脈によって判断基準が変わり、購入意欲に影響があるわけなのです。
こういった気づきは、前のステップ「ユーザ調査」で発見します。
*具体例は書籍「未顧客理解」

文脈発見の際の注意点

この文脈発見のときに注意すべきは、

ユーザ調査によってヒントを得る

まずは、「4.ユーザ調査」で、インタビューを行いヒントを発見します。

仲間とブレストで発見する!

インタビューの結果を、運営スタッフと一緒に見つけます。
その際、批判禁止、他人の発想に便乗する、質より量とブレストの原則に従います。

あなたと同じ一人の生活者としての視点から発想する

お客さんをつい客層というグループで考えがちになりますが、たった一人の生活者として文脈を考えます。

ターゲティングを先にしない! ターゲティングは後

先にターゲットを絞ってしまうと、自ら市場を狭めてしまう可能性があります。
ネットが普及し、どんな年代、地域の人も旧来の価値観に縛られなくなりつつあります。
まずは、多くの文脈を発見し、その後ターゲティングを行うようにします。

自社の商品カテゴリーに縛られない!

新規顧客を狙うなら自社の商品カテゴリーの枠に縛られず、「新たな文脈」を探ることが重要です。
たとえば、チョコレートのキットカット。
「キットカット」が「きっと勝とう」という語呂の良さから、「合格祈願」という文脈を発見し大ヒットしました。

文脈を表にまとめる

資料をダウンロードしてください。
ダウンロードはこちら

文脈は「誰、状況、目的、シナリオ」を記入する

文脈を①どんな人 ②状況と目的(悩みや痛みを解消) ③行動シナリオとして、発見する必要があります。
この内容を資料として書きこみましょう。
なお、サイト内ユーザの行動は、前項の”Googleアナリティクスのユーザーエクスプローラー”が現状確認の参考になります。

ターゲット&訴求ポイントシート作成

前項では、ブレストでいろいろな文脈を探ってきました。
これらを整理し、ターゲットとして分類します。

1.さまざまな文脈から、どんなターゲットに分類できるのか検討します

発見した文脈を、ターゲットとして分類します。
ターゲットを分類する基準は、考え方の違いです。
たとえば住宅メーカーであれば、「住むための家」「アパート経営のための家」とターゲットを分けられます。
前者は「いかに家族のニーズを満たすか」に関心がありますが、後者は「空室がでないか」です。
この関心の違いでターゲットを分け、各々別のコンテンツを用意する必要があるのです。
そのため、考え方の違いでターゲットを分類しましょう。
次に、そのターゲットに優先度をつけます。

2.ターゲットごとに、ペルソナを決める

ターゲットに対して、ペルソナを設定します。
ペルソナとは、運営側がつくりあげたターゲットにいそうな”人”のことです。
たとえばペルソナの例として・・・
「〇さん、20代、独身、金融機関に勤めるエリートサラリーマン男性。多忙で趣味はアウトドア」
ターゲットにさらに実際にいそうな人を年齢、職業、趣味などで肉付けするのです。
そうすることで、この先キャッチコピーやビジュアルなどを考えるときに、「〇さんに、刺さるか?」と判断しやすくなります。
つまり、ターゲットより使いやすいのです。

いくつペルソナを設定する?

できれば、ターゲット内に3~5人くらい設定できると良いでしょう。
もし、調査が十分でないと、1人だけかもしれません。が、設定しないよりははるかに便利です。

ペルソナに名前をつけましょう

運営チーム内で、より直感的にキャラを感じられる名前を付けてあげるとベターです。
たとえば、ドラえもんにでてくる「出木杉」くん。いかにも勉強ができそうな名前ですよね。
チーム内で役に立つ直感的な名づけをしておくことをおすすめします。

どのような項目

特徴、ITリテラシー、悩みやニーズなどの項目を入力します。(資料参考)
ただし、この項目にとらわれる必要はありません。
あなたの商品特性に応じて項目を決めましょう。

ペルソナに優先度をつける

ペルソナに優先順位を付けます。
後に制作時にそのニーズを満たすべきは、優先順位1位のプライマリーペルソナのみです。

3.ペルソナに対して、訴求ポイントを検討する

下記の順番で検討すると考えやすくなります。

①自社商品の特徴・強み

 カタログに掲載されているスペックや特徴です。

②競合・代替品

 お客さんが、あなたの商品を検討する際、「他にどんなものを検討しているか?」を検討します。
 その上で、1が本当に強みになるかがわかります。

③ベネフィット

 お客さまにとっての価値を検討します。
 買う前と買った後で、お客さまはどんな良い状態になっているか?を、検討します。
 例えば、機能的に良いのか、感情的によいのか。ペルソナの文脈も参考にしながら検討します。

機能を訴求するか? 感情的な面を訴求するか?

機能、感情の両面を謳う必要があるのですが、キャッチコピーは1つだけに絞らねばなりません。
たとえば、
ダイソンだと「ダイソン、吸引力の変わらない唯一の掃除機」とズバリ機能でヒットしました。
その一方、佐藤可士和氏のステップワゴンのCM「子供と一緒にどこ行こう」は感情的な訴求が功を奏しました。
一般的には、まったくの新しい機能であるときには「機能的価値」で勝負。
それ以外の場合は、「感情的価値」で訴求したほうが良いことが多いようです。

訴求ポイントを考える際は、一人のペルソナに絞って考える

刺さるコピーにするためには、一人のペルソナだけ絞る必要があります。
もちろん、絞ることで市場が狭まることが心配になるかもしれませんが、絞らないとそもそも誰にも刺さりません。
たとえば、「こどもと一緒にどこ行こう」というステップワゴンのキャッチコピー。
おそらく「独身の若者を外すのか?」という意見もあったと思うのですが、結局は大ヒットしました。
先程の、冒頭ではなるべく多くの文脈を探しターゲットを広く探索しましたが、訴求ポイント決定段階では、絞ることが必要になります。
つまり、「ビジネスのターゲットは広く、コピーライティングのターゲットは狭く」です。
訴求ポイントを考えるときは、上記のプライマリーペルソナに絞って刺さるかを考えましょう。

この記事を書いたのは

加藤春樹

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WEB制作歴25年・受注件数約2,000件の実績をもつウェブディレクター・デザイナー・プログラマー。 大企業のウェブ制作にも多く携わってきた経験がある。 独自の「誘導中心設計」に基づくホームページを制作し、サイトからのイベント集客を2倍(1,500人→3,000人)にするなど、「売れるホームページ」作りに定評がある。

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